この時期にカナダを訪れた方は、街中で赤いポピーの花を見かけることでしょう。
11 月 11 日はポッキーの日、ではなく、カナダでは Remembrance day といいます。
1918 年のこの日、第一次世界大戦の終結を記念しイギリスの国王ジョージ 5 世によって定められた 特別な日なのです。
さて、なぜこの日街中に赤いポピーが施されるのかというと、当時医療官として従軍したカナダ人の詩 人 John McCrae の詩”In Flanders Fields”に基づいています。
In Flanders Fields
In Flanders fields the poppies blow
Between the crosses, row on row,
That mark our place; and in the sky
The larks, still bravely singing,
fly Scarce heard amid the guns below.
We are the Dead. Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved, and were loved, and now we lie
In Flanders fields
Take up our quarrel with the foe:
To you from failing hands we throw
The torch, be yours to hold it high.
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow
In Flanders fields
McCrae は銃弾の飛び交う戦地の塹壕で来る日も来る日も溢れるような負傷兵の対応に追われ、悪 夢のような日々を過ごしたと母親への手紙を残しています。
そして彼の親しい友人が戦地に倒れ、野生のポピーに覆われた仮の墓に埋められた翌日にこの詩を 書いたのだそうです。
そして 1975 年、この詩がイギリスのパンチ紙に掲載されたことから、ポピーの花がイギリスやフランス、 ドイツなどでは第一次世界大戦で戦っていた全ての犠牲者を象徴するようになったのです。
Commonwealth of Nations。
カナダもイギリス連邦の国ですから、このようにポピーと共に記念日として大切にされているのですね。
ちなみにこのポピーですが、一番多く目にするのは戦没者のため募金するともらえる造花のピン。 この時期あちこちで用意されていて、ピンをもらった多くのひとが胸や帽子に刺しているのを見かけることができます。
私は実際に行くまで、日本の社会や世界史の授業で出てこないだけあって、カナダに戦争というイメ ージがありませんでした。ですが街のいたるところに戦没者を弔うモニュメントがあったり、時期になると 書店中の雑誌の表紙がそのことに染まったり、国中が記念日を意識していたり、日本以上に戦争とい うことを重く受け止めているようにすら感じました。
そして戦争において、日本とカナダには深い関係もあるのですがその話はまた今度。
勝った負けたに国民性などその受け止め方はそれぞれですが、ただ悲しいや悔しいではなく、後世をよりよくする歴史の紡ぎ方をしたいものですね。
余談にはなりますが、日本語では戦没者追悼記念日とか、休戦記念日などと記載されるのですが正式には Remembrance という単語が使われています。 唯一の原爆被害国日本にも終戦や戦没者を弔う日はありますが、その多くに文字面でみてもどこか 後ろ向きな“タブー”さを感じてしまうのは私だけでしょうか。
“Remembrance”day、覚えておくべき日、追憶の日、私はこちらの響きのほうが、どこか物悲しくも優しくて、大切にされている気がします。
/ julie