人か何かをもらうと、お返しをしないと不快になってしまい、ついお返しをしたくなってしまう心理のこと
スーパーの食品売り場で試食をもらうと、ついつい「買わないと悪いな」と思ってしまい、その商品を買ってしまうという経験は誰にでもあると思います。最近ではコストコがこの手法を使っていることで有名です。
アメリカの有名な社会心理学者である、ロバート・チャルディーニの著書『影響力の武器』では、広告やセールスマンが使っている心理テクニックが解説されています。ちなみに、大学ではこの本の内容についてのプレゼンをしました。本の中でこの「返報性の法則」が紹介されています。これは、簡単に言うと、「人は誰かに何かを与えられると、お返しをしたくなる」という心理を意味しています。
営業マンなどが、サービスで販促品などを無料でプレゼントするのも、この心理を使い、契約をしてもらう、自分の商品を買ってもらうなどしています。新聞のセールスマンが洗剤を無料であげるのもこの心理術の一つです。人は、「自分一人が得をし過ぎてしまうと居心地が悪くなってしまう」心理が原則的に働いてしまうのです。
この心理を利用すると、本人に気付かれることなく、他人を強引に操ることが可能かもしれません。過去には実際にこの法則を悪用し人の心理に付け込んだと思われる詐欺が長期にわたり起きました。1960年代から1980年代にかけて「原野商法」という、二束三文の山奥の土地を高額で売りつける詐欺が全盛期でした。新聞の折り込み広告や雑誌の広告などをるかった勧誘が盛んに行われていました。詐欺の手法として、「旅行接待」が使われていました。土地の下見と称して客を温泉宿に連れていき、盛大にもてなすことによって、連れていかれた客は、無料で旅行させてもらった負い目から、つい土地を購入してしまうという手法です。そしてその多くが、後で泣きを見たというのが結論です。この例は明らかに犯罪なのですが、ちょっとしたプレゼントを使って、相手を自分の思い通りに誘導することも不可能ではありません。
➀人は自分だけが得をすることに負い目を感じる
②その心理を利用したプレゼントで相手を誘導できる